「冬の海」





 十二月の海は 静か

 冬の波が ゆっくりといくつもの飛沫を寄せる

 まるで 終わりのない明日を見るような

 そんな恐ろしさに似ている


 防波堤の上に立って

 暖かい冬の日の 日なたの道を行くとき


 あの夏と同じ 風向きが思い出を運んできて

 その冷たい優しさに 涙がこぼれる


 あなたと別れて あなたの知らない

 日なたの道を行く


 暖かい冬の道を ひとり 行く