「地図にない朝」






 凍える夜を 逃げ疲れて

 倒れ伏した 雪原の向こうから

 遠く高く 甘い声

 最期の一息を吐く 罪人の

 その襟元を撫でる 白く切ないてのひら


 永い眠りを 終えて

 再び大地にみどりが芽吹く日まで

 罪人は 白いてのひらの娘と踊る

 互いの後ろめたさを 押し隠しながら


 地図から消えた 雪の上を

 幾筋もなぞる風のステップライン

 誰も知らない 朝を迎えて


 冬が始まる