「鏡の向こう」
 本当は誰もが 一度は思う
 この鏡の向こうには 違う自分がいる
 ただ うまく真似をしているのが
 ばれていないだけなのだと

 その証拠に ほら
 鏡の前に 立ってみて
 向こうにいるのは 自分なのに
 自分は向こうの自分の考えていることが 分からない


 向こうの自分が 笑うのを
 私は この前見てしまった
 気付けば 私の口も
 同じカタチで 密かに歪んでいた

 どちらが本物 どちらが偽者
 分からない だって同じ
 同じ姿 どちらも 一緒
 張り付いた笑顔は 一体誰のもの?


 きっとどちらでも 大差はないの
 どんな人でも みんな同じ
 鏡があって そこに同じ姿が在る
 代わりは必ずいる あなたじゃなくていい

 そんなことはない 私は私
 誰にもなることはできないわ
 代わりがいるなら その代わりを消すの
 傍にあった花瓶は 投げるのにちょうど手頃



 割れる音 割れる音 割れる音
 嗚呼 耳を裂いて


 本当は誰もが 一度は思う
 この鏡の向こうには 違う自分がいる
 ただ うまく真似をしているのが
 ばれていないだけなのだと


 割れた鏡 そこに映るのは
 幾千の"代わり"
 そして 砕け散るのは
 "代わり"になった ワタシ?