「WristCutter」






 今夜もまた 貴方のいない夜が来て
 私は一つの 赤い線を抱く
 真白の手首に滲み逝く 赤の一筋は
 自らの疼き 鎮める 一夜の秘め事


 床に散らばる 羽根を 集めては
 もう届かない空を見上げてる
 離れて壊れた 私の愛は
 離れて出来た 狂気の虜

 今夜もまた 貴方のいない夜が来て
 私は何度も 赤い線に泣く
 刻まれた愛しい痛み 思い出して
 身を竦ませては 記憶の中を喘ぐばかり


 生きてる証で 羽根を 染めては
 蝋で固めた 真紅の偽翼
 静かに命は 染みこんで
 それだけ体は 軽くなる

 まぶしすぎる 月の光を吹き消して
 私は暗闇に 赤い線を引く
 初めての夜 体を重ねた痛みのように
 貴方と過ごした 淡く儚い夜を求めて


 終わらない待ちぼうけは もう終わり
 貴方への復讐も もう終わり


 今夜もまた 貴方のいない夜が来て
 私は首筋に 赤い線を引く
 動き出す赤い翼 今高く遠く
 貴方を求めて 彷徨いながら どこまでも