「ある街角の一コマ」



 殺さないでと女が叫んでる
 俺じゃないと男も叫んでる
 手と足は縛られ 身動きも取れないまま

 ナイフの光が二人の眼を射貫き
 理性の箍を外しにかかる
 今までの罪と悲しみが狂喜を彩り
 栄光と平静を崩しにかかる

 暴れ出した女の喉を
 ナイフの光が鋭くえぐる
 月光は窓から放たれた血によって
 嬉しそうに顔を紅くした

 電車の荒い音に
 男の声もいずれ消えるだろう

 こんな情景も
 今では変わらぬ街の一コマ

 こんな惨劇も
 今では新聞の片隅に追いやられ

 また月光が指す頃に。