「現代社会の一日」




 一人で越える 夜の淵

 生きる理由がないと 啼いていた 隣人の啜り泣きはいつか

 一筋の狂騒に変わり果てる


 息を殺して 息を殺して

 貪り狂う その音を聞いて

 自分が狂わないように

 じっと じっと 耐えて


 壊れてゆく 毀れてゆく

 まるでモノのように

 棄てられて行く そう

 朝になれば 要らないもの




 次はだれ?
    次はわたし?

 次はだれ?
    わたしいがいのだれか?


 今日も 醜くそして純粋すぎる願いを暗闇に



 一人で越える 夜の淵

 過ぎ去った嵐 隣の檻にはもう 誰もいない

 私はただ息を殺して 来るべき明日だけを待っている