「負け犬横丁」





 帰る道を失くして

  常夜灯のあかりが点る方へ行けば

 行き交う人も みな同じ顔で 何かを探している


 えりを合わせて 足早に通り過ぎるのは

 みな 蔑んだ目をした うつろな人たち

 僕らと彼らと どちらが幸せなのか

 それは ストーリーテラーにしか分からない


 ポケットの中には銅貨が少しと

 使わずに残されて ゴミになった切り札二枚

 空かなくなった腹をさすって

 明けなくなった朝を待つ



 ここは負け犬横丁

 閉まった店のショーウインドウには 何もなく

 「理想」のネームプレートだけが残る夢の都