「しんしんと」




 どんな悲しみがあろうと

 関係なく


 肉と骨を 内側から食い破りながら

 みしみし

 みしみし

 根から 這い上がる水のように

 沁み込んでくる 冬の冷たさ


 心象のページの端を 折り曲げて

 白い息が街の光に隠れてきたなら

 外はもう わずかの闇の中



 誰かに笑われたことも

 誰かを笑ったことも

 もう 遠い思い出

 そこに どんな悲しみがあろうと

 関係なく


 みしみし

 みしみし


 やがて 疲れ切った心の裡に

 沁み込んでくる 冬の暖かさ