「たそがれのうた」




 ふと 誰かに呼ばれた気がして

 振り返る


 夕暮れの 力強い赤が

  足元の心細い影を伸ばしながら あざ笑う


 誰もいないよ

  もう お前のそばには誰もいない



 そうだね

 そうだった

  お前はもともと味方ですらないけれど



 どんなに寂しくても この言葉に耳を傾けては いけない

 それは誰にも見えない

 孤独がうたう 思い出


 街路の細い路地を抜けたら そこはもう夜

  闇に溶けて 口ずさむ なつかしいうた