「秋風の吹く」
そこにはもう 誰もいない
何もないのだと 分かっていても
ふと 名残惜しさが
後ろを振り返らせる
閉ざされた痛み
使われないままの切り札
砕け散った恋
明かされなかった謎
出番のない補欠
叶わなかった 思いの数々
あの夏に感じた 限界
自分の目の前に引かれた線が
破線の一部だったのだと 気付いた時
それを 乗り越えてゆく人も
触れることすら出来ない人も
懐かしいと 眺める人も
二度と戻れない人も
自分が大人になったのだと気付く
振り返る
あの舞台にはもう 誰もいない
何もないのだと 分かっていても