「Autumn Red」



 秋は赤

 冷めた紅茶の色を溶かした

 葉の 切ない銅に 戸惑う季節


 帰る道を振り返り 立ち止まる

 踏みしだく 銀杏の黄を照らす

 その 夕暮れは濃い橙


 疾く来たる 宵闇の別れに

 薄桃の 飾り気のない幼い唇を

 明日の契りと 意味も知らずに塞ぎあった日


 淡く燻る 秋の風は

 いずれ来たる銀の中央にまだ

 鈍い蠍色を光らせたまま



 秋は赤

 ここからでは 遠く

 どんなに声を張り上げても

 今はもう 届かない


 どうか もう一度と

 拙なる声に 空を見上げても