「暗がりの水の中」





 欠けた月の照らす 夜の中を

 延々と

 生ぬるい水に 腰まで浸かりながら

 口を覆い 手を清めて

 無言のまま すすり泣く

 亡霊のやうな 白い服の列が目の前を征く


 平等に降りかかる

 得体のしれない 何かから

 逃れたくて


 泣き叫ぶこともできず 静かに息絶えるもの

 他人を巻き込みながら あわただしく沈むもの

 子や親を背負ったまま 目を見開いて力尽きるもの

 それでもなお いがみ合う人々は 水面に互いの顔を押し付けてばかりゐる


 見えない向こう岸に向けて

 彷徨い続ける

 それは明日への葬列

 私の為の 葬列