「平和な国」




 そこは

  答えのない問題に

  今日も全員が 全問正解を求められる場所


  間違いが許されない日々に疲れて

  少しでも心の裡を 晒せば 生き方すら糾される場所


 そこは 今も

  目立った争いも 暴力もそれほどない

  平和な国と 呼ばれている


 そこは

  はみ出したもの 落伍したものを

  決して逃さない人々で構成され

  倫理と健康と

  表現と自由を 安全の名のもとに管理される場所


 そこは 確かに

  自然が豊かで 科学技術の進歩した

  平和な国と 呼ばれている



  同調を強いる集団の中で 下を見て安堵を得る

  己の弱さですら

  後手に回る政府の対応が露見した

  午後のニュースがかき消してゆく

  私は この平和な国に生まれたことを

  感謝しなければならない


 こんな国にしてくれた誰に 感謝を捧げればよいのか


 この平和な国の 誰に対して