「帰路」




 日も差さない 灰色の空から

 灰色の 灰のような 雪が降る

 テレビの 砂嵐のような目の前の

 白と 黒と 灰色を

 払いのけて


 暖かな窓から 漏れる

 物の割れる音と 賑やかな怒号と怨嗟

 すすり泣く声と 垂れ下がる首輪の影絵

 誰もがうらやむ 夢のような 団欒のひと時


 一人帰る墓石の中に 浸み込んだ

 冷たさに 包まりながら

 いつかの 遠い国の本で見た

 南国の太陽を 夢見て眠る


 そこには

 頬に凍り付いた 涙などというものはなく


 降り積もる日々の 灰色に埋もれた

 この気持ちが

 いったい 何色の

 どんなものだったのかも

 思い出せたのかもしれない