「冬枯れのほとり」





 冬枯れのほとりにある

 澱み切った 水面から

 困惑だけを ひとすくい


 あかがねいろの それは

 忘れてしまった歌声を

 もう 思い出せずに

 錆び付いた 哀しい音の

 発条だけが 叫び続ける



 誰かの継ぎ接ぎと 成り果てた

 我が身の 疎ましさだけを

 引きずりながら

 再び 下り坂への 旅を始めるとき


 冬枯れのほとりにある

 濁り切った 水面から

 不信だけを 連れてゆく


 ますはないろの それも

 忘れてしまった歌声を

 思い出せずに