「理想郷」




 戦う理由を持っていないのは

 武器を 持っていないのは

 果たして

 幸せか 不幸せか


 戦うことで歴史を作り

 争うことで前に進み

 競うことで進化して

 失うことで ようやく その愚かさに気づく


 過ちが終わらないのは

  その怖さを知らないからで

 苦しみが終わらないのは

  その痛みを知らないからで


 もうやめようなんて 誰も言わない

  あの塔が崩れた時に

   怖さを伝えることも 痛みを覚えることも

    全てに通じる言葉を 誰もが忘れたから




 人々が作り上げる理想郷

  その結末たる 不毛の大地には

   今年も真新しい 白木の十字が立ち並ぶ