「満月の夜」




 ひとり ひとり 欠けては満ちる

 満月のように 手を繋いだ 輪の中で


 わたしは あと何度の

 発言を許されるのだろう


 空を裂いて 獲物を捕らえた

 白い鳥が 水へともぐり

 その和を乱して 飛び跳ねるとき

 満月は水面の上で激しくうねり

 私は全てが幻であることを知る



 はじめから 自分の話など

 自分以外 誰も聞いてはいない


 それはみな同じ

 同じ水面をただよう 一枚の木の葉と同じ

 誰かに聞いて欲しくて

 誰かに頷いて欲しくて

 そうして 今夜もひとり 月を見上げる


 今宵は満月

 ひとり ひとり 欠けては満ちる

 満月のように 手を繋いだ 輪の中で